なぜワイヤレス充電は遅いのでしょうか?
ワイヤレス充電は新しい技術ではなく、電動歯ブラシなどの製品に何年も前から採用されていました。
もともとは、電動歯ブラシのように、防水性が必要で、急速充電を必要としない用途向けに開発されたものと言われています。
スマートフォンでは、ケーブルでの充電に代わる便利な方法として、ワイヤレス充電が採用されていますが、これまでのようなケーブルによる充電に比べると、スピード感はありません。
それはなぜでしょうか?
なぜワイヤレス充電は、ケーブル充電よりも遅い?
ワイヤレス充電の効率は70〜80%で、ワイヤレス伝送の過程で、20〜30%の電力が失われます。
10Wのケーブル充電器と10Wのワイヤレス充電器を比較した場合、ワイヤレス充電の損失のために、ケーブル充電器の方が20〜30%速くなります。
失われた電力の大部分は熱に変換されるため、ワイヤレス充電時に携帯電話が温かく感じたり、熱くなったりするのです。
ワイヤレス充電では、どのくらいの充電速度が期待できる?
スマートフォンの充電速度には、バッテリー残量、アプリケーション、画面のオン/オフ、周囲の温度など、さまざまな要因が影響します。
また、スマートフォンのメーカーによっても、バッテリーを保護する目的で、充電速度を管理するために異なるアプローチを採用しています。
以下の、【ベストケース】と【ワーストケース】の条件を比較し、グラフ化したものをご覧ください
ベストケースのシナリオ
- バッテリー残量がほぼゼロ(5%未満)
- アプリを起動していない(特にGPSを使用しているもの)
- 画面をオフにする
- 日陰で周囲温度が低い(~20℃)。
ベストケースでは、2分ごとに1%、1時間ごとに30%の充電量の増加が確認されています。
ワーストケースのシナリオ
- バッテリーがほぼ満タンになってしまっている(80%以上)
- たくさんのアプリを起動していて、そのうち1つはGPSを使用している(地図など)
- 画面が表示されている
- 暑い日(30度)に直射日光を浴びている
ワーストケースでは、10分ごとに1%の充電量の増加しか見られないかもしれません。1時間でも6%のバッテリーしか増加しません。
ワーストケースで、パフォーマンスが大幅に低下する理由は?
充電速度に影響を与える要因はたくさんあります。
- バッテリーがほぼ満タンになると(80~90%以上)、スマートフォンはバッテリーが100%に達するのを保護するため、充電速度を遅くします。
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アプリをたくさん起動している場合、特にGPSを使用するアプリを起動している場合、スマートフォンはより多くのバッテリーを消費するためパフォーマンスが低下します。
その場合、ワイヤレス充電パッドは、バッテリー残量を高水準で維持しようとし、熱を発します。
- 熱はバッテリーによくありません。そのためスマートフォンメーカーは、バッテリーの温度を監視・制御しています。
バッテリーが非常に高温になると、携帯電話はプロセッサの速度を低下させたり、自動でシャットダウンしたりします。
ワイヤレス充電は、熱を発生させます。バッテリーがしきい値(通常は約30〜40℃)を超えて加熱すると、スマートフォンはバッテリーの過熱を防ぐため、ワイヤレス充電の速度を遅くします。
暑い日に屋外で充電している場合(25度以上)、バッテリーの過熱が早くなるため、充電速度が遅くなっているように見えます。
また、ほとんどの携帯電話では、バッテリーがワイヤレス充電コイルの真上に配置されているため、充電中に熱が集中してしまうのです。
ワイヤレスとケーブル、どちらがおすすめ?
とはいえ、ワイヤレス充電は優れた技術であり、適切な用途、環境下であれば非常に便利です。
特徴を理解したうえでご使用頂くと、最高のツーリングが楽しめるでしょう。もし発熱してきた場合には、一時的にポケットやバックパックなどに入れ、冷ますこともお勧めです。
充電速度を最も重視する場合には、ケーブル充電をお勧めします。残念ながら当面は、ケーブル充電に匹敵する速度は得られないでしょう。
参照記事:WHY DOES WIRELESS CHARGING SEEM SLOW? - support.quadlockcase.comより